株式会社セガは、
2022 年1 月に日本統計学会スポーツデータサイエンス分科会と情報・システム研究機構統計数理研究所が主催・開催した
「第11 回スポーツデータ解析コンペティション」に、
esports 部門を代表してセガ公式プロ大会「ぷよぷよチャンピオンシップ」の大会試合データを提供し、
スポーツデータサイエンスを学ぶ大学研究室の分析・発表に貢献いたしました
配信元:株式会社セガ (2022/02/10)
「スポーツデータ解析コンペティション」は、一般社団法人日本統計学会の分科会として2009 年に設立された日本統計学会スポーツ統計分科会(2021 年より日本統計学会スポーツデータサイエンス分科会)と、情報・システム研究機構統計数理研究所が主催・開催しているコンペティションです。
実データに基づく応用研究の促進と、研究成果を現場に還元するきっかけを与えること、また研究者の裾野を広げることを目的として実施されています。
今回が第11 回の開催となり、全国から18 の大学が参加して、野球部門、サッカー部門、ゲートボール部門、卓球部門、ソフトテニス部門、柔道部門、そしてesports 部門の7 つのスポーツデータをそれぞれの視点で分析・発表いたしました。
セガでは、e スポーツもフィジカルスポーツと同様に、競技にはデータを活用した分析が重要と考えています。
大会中は派手なプレイやトリッキーな戦略に目がいきがちですが、過去の試合データから「客観的な指標」を作っていくことで、プロ選手たち個々の特徴をスタッツ化して評価できる指標を提供しています。
それにより、選手が効果的な練習方法を組み立てる参考となるほか、応援するファンにとっては対戦カードの結果を予想するなど、大会観戦をさらに楽しむための指標としてご利用いただいています。
今回から新設されたesports 部門に参加された大学研究室の方々が自由な発想で取り組めるように、「ぷよぷよ」プロ選手による過去18 大会、317 試合、2,461 ゲームの動画と詳細対戦データを提供いたしました。
今後も学術としてのスポーツデータ解析に協力するとともに、eスポーツのスポーツ分析がますます広まるよう働きかけてまいります。
<「第11回スポーツデータ解析コンペティション」審査結果> ※敬称略
【esports部門】
○最優秀賞
「ぷよぷよ競技初心者を対象にした積み込み上達支援AIの開発」
伊藤大輝、廣澤聖士(慶應義塾大学)
○優秀賞
「選手間の相性差を考慮した予測モデル」
田中琉偉、作村建紀(法政大学)
ポスター部門、インフォグラフィック部門においても、セガ公式プロ大会「ぷよぷよチャンピオンシップ」の対戦データを使用した上位入賞がございました。
【ポスター部門】
○優秀賞
「判別分析と時系列可視化による、「ぷよぷよ」における勝敗要因の特徴付け」
中西蓮、小松歩夢、中原拓哉、大木公平、西川哲夫(武蔵野大学)
【インフォグラフィック部門】
○最優秀賞
渡部宙、山田泰行(順天堂大学)
○優秀賞
後藤涼介、松原颯杜(成蹊大学)、竹内光悦(実践女子大学) ※学部生のみ
○奨励賞(学部生のみのチーム)
長谷川朝太良、和泉とも子(成蹊大学)、竹内光悦(実践女子大学) ※学部生のみ
【esports部門最優秀賞受賞者コメント】
「ぷよぷよ競技初心者を対象にした積み込み上達支援AIの開発」
伊藤大輝、廣澤聖士(慶應義塾大学)
慶應義塾大学修士2年の伊藤大輝と申します。
esports部門の最優秀賞を受賞できて大変嬉しく思います。
『ぷよぷよテトリス』をプレイしたことがあり、「どんなAIがあれば初心者の自分がもっと上手くなれたか」という思いから今回の研究のアイデアを発案し、実装しました。
人間を超える強さのAI開発が話題になる一方、プロの積み方を学ぶことができる教育的なAIの開発を目指した研究は過去にあまりありません。
これまでの研究の経験を活かしつつも手探り状態で実装に取り組んだため、出力をした際にAIがGTRを積み込んでいる様子を確認できたときは感動しました。
また、飛車ちゅう選手はプロの中でも階段積みを使うユニークな選手です。
飛車ちゅう選手に教わることができるともっと面白いのではと思い、飛車ちゅう選手のAI化にも取り組みました。
実際に階段積みを模倣していることが確認でき、大変興味深い内容となりました。
連鎖数を伸ばすなど課題はまだまだ多いですが、プレイスタイルを模倣できる可能性は本研究で示せたのではないかと思っています。
プロのデータを活用できるコンペティションの開催という貴重な機会を提供いただいた関係者の皆様に感謝申し上げます。
【インフォグラフィック部門最優秀賞受賞者コメント】
渡部宙、山田泰行(順天堂大学)
この度、インフォグラフィック部門の最優秀賞に選出されたことを心から嬉しく思います。
今大会のインフォグラフィック制作を通して感じたことは、『ぷよぷよeスポーツ』の奥深さです。
“ぷよぷよ”や“eスポーツ”の経験がない方にとって、アスリート達が何を考え、どのような戦略を巡らして試合に臨んでいるかを想像することは難しいと思います。
私も初心者なのですが、『ぷよぷよeスポーツ』の試合データを分析する中で、大きく4つのタイプの戦略が存在することに気づきました。
アスリートが好む4タイプの戦略を知ることで、ぷよぷよeスポーツの試合観戦がもっと楽しくなるのではないか、初心者でも短期間で上達するのではないか、といった期待感を抱きながらインフォグラフをデザインしました。
「れんさを制す者はぷよぷよ天下を制す」と題した私たちの作品から、『ぷよぷよeスポーツ』の奥深さを少しでも感じていただけると嬉しいです。
この賞を励みとして、今後も研究活動やデータ分析、情報デザインに取り組んでいきたいと思います。
最後に、このような学びの機会を提供して下さった大会関係者の皆様に感謝とお礼申し上げます。【審査員・ヨダソウマ選手コメント】
ヨダソウマ(日本e スポーツ連合公認「ぷよぷよ」プロ選手)
esports 部門のタイトルに「ぷよぷよ」が選ばれ、選手として大変嬉しく思います。
ゲームの競技的な考察はまだまだ感覚の世界です。
コンペティションでは、実際のプロ大会で行われた試合データをもとに様々な視点から数値的アプローチが行われ、これまでの既成概念を補強、または覆すような、新たな知見に繋がると感じました。
ご参加いただいた皆様、関係者の皆様、誠にありがとうございました。
【コンペティション事務局コメント】
酒折文武(第11回スポーツデータ解析コンペティション事務局)
今回初めて開催されたesports部門(ぷよぷよ)では、ご提供いただいた対戦データのみならずゲーム映像からの動画分析を行なったチームが多くありました。
本コンペティションの卓球部門や柔道部門などと同じ傾向であり、eスポーツ(ぷよぷよ)が題材であっても全く違和感を感じることがありませんでした。
FPSやMOBAなど他のeスポーツと比べ、ぷよぷよは状況が限られているとはいえ、高い戦略性と奥深さがあります。例えば、発火催促や対応力、セカンド力、画面外(13段目)に置かれたぷよ、接地キャンセル、読まれにくい組み方など、評価は難しいが非常に重要な項目が多数存在します。
いかに定量化して分析するか腕の見せどころです。
「ぷよぷよ」の部門、さらには他のeスポーツについても、今後も継続的にコンペティションとして開催したいと考えています。
私達の成果が「ぷよぷよ」界やeスポーツに少しでも貢献できれば嬉しいです。
【第11回スポーツデータ解析コンペティション】
https://sports.ywebsys.net/about.html
【大会実況システム「bi-e-play」】
「bi-e-Play」は、幅広いお客様にゲーム大会の観戦を楽しんでいただくことを目的にセガが開発・運用しているシステムで、2015 年よりさまざまなタイトルの全国大会で採用されています。
「ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON4」では、「bi-e-Play」のAI による画像認識機能を利用し、2018 年からプレイヤースタッツの収集を行い分析・指標の算出をしています。
【「ぷよぷよ」とは】
「ぷよぷよ」シリーズは、2021年で30周年をむかえて世代を超えて愛される、国民的落ち物アクションパズルゲームです。
1991年に初代『ぷよぷよ』がMSX2版とファミコンディスクシステム版にて発売され、1992年にはセガよりアーケード版、メガドライブ版を発売。
単純で分かりやすいゲームシステム、可愛らしいキャラクター、さらに落ち物アクションパズルゲームとして初めて対戦形式を導入したゲーム性により、爆発的なヒットを記録しました。
以降、アクションパズルゲームの定番ゲームとして、さまざまなゲーム機や携帯電話、スマートフォンで展開され、幅広い層に遊んでいただき、現在に至っております。
2018年3月にはJeSU(日本eスポーツ連合)公認タイトルとなり、現在では30名以上のプロ選手が活躍しています。
2019年からは「全国都道府県eスポーツ選手権」の実施タイトルにも採用され、2022年10月には「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」の文化プログラム事業として大会開催を予定しています。
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